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タオルソムリエが教える、今治タオルの品質とは?

2020.12.23

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タオルソムリエが教える、今治タオルの品質とは?

「今治タオル」とは、様々な品質基準をクリアしたもののみ「今治タオル」と名乗ることができます。さらに、国産タオルと外国産タオルにも品質の大きな違いがあります。少しでも品質について把握しておくと、自身がタオルを選ぶ際に役に立つと思います。そこで、少し難しい話になりますが、品質基準の用語や検査方法、国産・外国産タオルの品質の違いについてご紹介致します。

今治タオルの品質基準

まず、今治タオルの品質基準についてお話したいと思います。

品質試験

JIS規格

一般的にJIS規格(日本工業規格)を主体とする「JTIF・C評価基準書」がタオル業界で利用されています。すべての検査項目を定めると約30項目以上あるとされています。その中で「JTIF・C評価基準書」をベースに組合が定めた品質基準をクリアしたもののみ「今治タオル」と名乗ることが可能となります。

特性

吸水性

「未洗濯」・「3回洗濯後」の2回検査を行います。タオルを10mm切り取り、水温20℃±2℃に表側になる方を水面側にして浮かべます。

「5秒ルール」という言葉を聞いたことがある方もいらっしゃると思いますが、文字通りどちらの検査でも5秒以内に沈むことをクリアすることが基準となります。一般的なタオルは60秒ほどと言われています。

脱毛率

タオルの毛羽落ちの割合を計測します。パイル・無撚糸・シャーリング別に細かく基準が定められています。パイル時は0.2%以下・無撚糸時は0.5%以下・シャーリング時は0.4%以下が基準となります。

パイル保持性

パイルの保持力を計測します。バスタオルやフェイスタオル等、アイテム別に細かく基準が定められています。バスタオル、タオルケットでは2.45Cn/パイル以上・フェイスタオル、ウォッシュタオルでは2.16cN/パイル以上が基準となります。

 

染色堅牢度

試験時に5~1級に分類され、5級が最高級であり、1級に近くなるほど変退色性(色落ち)や汚染性(色移り)が高くなります。

耐光

光を一定時間照射して、色の変化を計測します。

パステル色や淡色は3級以上ですが、主に4級以上の数値が基準となります。

酸性とアルカリ性の人工汗液で試験片を30分浸し加圧させます。その後に、4時間乾燥機にて乾燥させ、変退色性や汚染性を計測します。変退色性が4級以上・汚染性が3~4級以上が基準となります。

摩擦

摩擦による変退色性の計測をします。顔料プリントや濃色では変退色性が高いので、数値は0.5下げることが基準となります。乾燥式試験と湿潤試験の2種類の検査を行います。乾燥が4級以上・湿潤が2~3級以上が基準となります。

洗濯

30分洗濯を行い、洗濯時におこる変退色性・汚染性の計測をします。

変退色性・汚染性共に4級以上が基準となります。

 

物性

引張強度

縦・横を機械で引っ張り、引っ張り強さや伸び率の計測を行います。縦が147N以上・横が196N以上となります。

破裂強度

圧力を加え、試験片が破裂するまでの強度を計測します。392.3kPa以上が基準となります。

寸法変化

家庭用の洗濯機に試験タオル入れ、3回洗濯を行い、そのタオルの元の寸法に対してどのくらい伸縮しているかを計測します。±7%以内が基準となります。

滑脱抵抗力

メロー巻き時の縦・横の滑脱抵抗力の計測を行います。縦20N以上・横30N以上が基準となります。

 

有機物質

ホルムアルデヒド

自然界にも存在している有機化合物の一種であり、有毒な物質で、皮膚アレルギーなどを引き起こす危険性があります。水に溶けやすい性質があり、独特なにおいを発します。0.08以下の数値であれば人体に影響を及ぼすことはないとされています。試験内容としては、繊維に付着・含まれているホルマリンの数値を計測します。吸光度差0.03以下がクリアの基準となります。

 

国産タオルの特徴

つづいて、国産タオルと外国産タオルの品質の違いについてご紹介致します。日本は基本的に綿100%のタオルが定番となっています。それは、日本のほとんどが軟水を使用しているということにも影響しています。軟水とは、肌や胃腸に優しく、洗髪や洗濯にも適しているミネラルの多すぎない水になります。よって、軟水を使用している国産は、耐久性・吸水性を追及した柔らかいタオルが多くなっている。という事が言えます。先程お話した《今治タオル》や《泉州タオル》など、品質の高いタオルがあることにより、触り心地・吸水性を中心に外国産タオルより優れています。さらに、織り方や製造方法を工夫し、いろいろな特徴の豊富さも国産タオルならではとなります。ですので、贈り物や長く使用したい・柔らかいタオルが欲しい場合は、国産タオルを選ぶことをオススメします。

 

外国産タオルの特徴

様々な国から輸入されていますが、主に中国・ベトナム・米国が挙げられます。外国産タオルは基本的に安価であり、硬いイメージが強いと思います。それは、外国が主に硬水を使用しているということが理由の一つです。硬水とは、カルシウムやマグネシウムを多く含み、洗濯には不向きでミネラルを多く含む水になります。よって、硬水を使用している外国では、タオルが硬く製造費を抑えたタオルが多くなっている。という事が言えます。しかし、外国産は硬く粗悪なタオルが多い、というわけではなく、国産のような柔らかさで、吸水性のあるタオルも中にはあります。ですが、輸入されるタオルの多くは国産のような柔らかさのものが少ない為、業務用など大量に仕入れる場合は、比較的安価な外国産タオルを選ぶことをオススメします。

 

まとめ

タオルを選ぶ時、国産なのか外国産なのか・今治タオルなのか一般的なタオルなのかを区別し、選び損のないよう見極めましょう。